アルヴァアアルトの建築と出会った1996年

フィンランドには学生時代、1996年の冬に訪れています。
建築学生が、アアルトの建築に魅了された冬でした。

当時、幼なじみの友人の叔母さんがフィンランドのタンペレに住んでいて、私も子どもの頃から知っている方だったので、友人と一緒にステイさせてもらいました。

今回は、私がフィンランドを好きになった、1996年の旅のことを少し書きたいと思います。

タンペレ ムーミン谷の街

タンペレは大きな湖のある街。ムーミン谷のあった場所、と言われている街です。

当時、2月頃はまだ昼間が短い時期。
昼間と言っても薄明るいというような時間がほとんど。

明るい時間が短い分、日の出ている時間にウォーキングをされる方が多いのです。
湖と言っても完全に凍っている湖上を何回か散歩しました。

フィンランド、タンペレの湖上を歩く

室内の暖かい光~フィンランドの家から

2月のフィンランドの気候から北欧インテリアにおける「光」と「温もりの質感」の重要性を知りました。

雪は思ったより多くなく、現地で暮らす叔母さんも「いつも雪はこれくらいの量」と言っていました。
気温は低いのでパウダースノー。

寒いだろうと思っていましたが、寒いので室内にいることも多く、室内はしっかり暖房・断熱されているので外出時以外は意外と薄着で生活できます。

そして、室内で過ごす時間が長い、ということから感じられるインテリアの魅力。
温もりのインテリアがそこにありました。

フィンランドの住まいの窓。
暖かい灯りと、青い外の風景

青い世界

窓の外はいつも青い世界。

その青さと対比して、キャンドルや室内の照明による暖かい明かりがとても印象的でした。

冬のフィンランドで招かれたコテージのホームパーティ

アアルトの建築との出会い

フィンランドに行く前に、アルヴァアアルトの建築のことを調べました。

当時日本で出版されていたアアルトの本はおそらく1冊だけ。
情報も少なかったので、タンペレの本屋さんで分厚いアアルトの本を買いました。

とても美しい写真がたくさんある本でした。

その本にある情報を頼りに(辞書片手に英語を読んで)アアルトの建築を巡る旅が始まりました。

最初に訪れたのが、セイナヨキという街にある教会。

ここですっかりアアルトの空間に魅了されてしまいました。

セイナヨキの教会。自然光の取り込み方がとても美しい。

自然光の取り込み方に対しては
光が弱いのに、なんでこんなにやさしく温かい光をつくりだせるんだろう!と感動し
教会という空間の求心力に対しては
イタリアなどで見ていた、宗教画やステンドグラスなどの鮮やかな表現がなく
とてもシンプルな空間なのに、なんて崇高な空間なんだろう!と感動し
まだ建築を学んだばかりだった私はしばらく言葉が出なかったことを思い出します。

居心地の良さを考えさせられた図書館

この教会があるセイナヨキはアアルトによる都市計画でタウンホール、図書館、教会などが配置されています。
教会の後に訪れた図書館の空間にもとても感動しました。

光の取り入れ方、本を読むスペースの居心地、空間の連続性、照明や家具のデザインなど・・・
今私が住宅設計をしていく上で意識しているたくさんの空間の要素をここで学んだ気がします。

大げさに聞こえるかもしれませんがそれくらい印象に残った空間構成でした。

この後、ロヴァニエミの図書館にも訪れましたが、ここも同じように暖かい灯り、自然光の取り込み、居心地の良いスペースが作られていて、たくさんの人に利用されている光景を見ました。

フロアの高低差を利用して居心地の良い空間をつくるロヴァニエミの図書館

風土に合わせた空間

フィンランドという土地の気候、風土に合わせながら、そこにあるべき空間をつくるということ。
冬のフィンランドだったからこそ感じられたのかもしれません。

このあと、北極圏、サンタクロース村のあるロヴァニエミの街や、アアルトの建築が多く建つユヴァスキュラの街にもいきました。

アアルトという建築家の建物がフィンランドの人たちに愛され、利用されているということを知りました。
当時の紙幣にはアアルトが肖像の紙幣がありましたからね!

フィンランド、ロヴァニエミのサンタクロース村

ヘルシンキのフィンランディアホール

この写真はヘルシンキのフィンランディアホールです。

この1996年に訪れた旅で、アアルトの建築にすっかりはまった私でしたが、アアルトの本に掲載され、アアルトミュージアムにも資料がある「住宅」には訪れることができませんでした。

いつか、その「住宅」を見て感じたい。
その想いが2012年のフィンランド旅につながっているのです。

ヘルシンキ、冬のフィンランディアホール